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おこもり旅のススメ

ガラスの美神たちと、静謐の中で戯れる

箱根ラリック美術館

神奈川県/箱根

心が、知らない間にひび割れて、空っぽになっているときがある。そんなとき、やわらかな水が肌に添うように、すっと心に入って潤してくれる美しいもの。ラリックの作品群もそうした美のひとつに挙げられるでしょう。
ジュエリーや香水瓶をはじめとするガラス工芸で、今日でも愛される数々の意匠を残したルネ・ラリック。彼の生きたアール・ヌーヴォーとアール・デコの、二つの時代をガラス作品を通して知ることができるコレクションが、箱根ラリック美術館に収められています。
ラリックの作品は、饒舌に己を開示することもなく、解釈を求めることもなく、ただ素直に美しくそこにたたずんでいるだけ。日常から離れた静謐の中での純度の高い美との邂逅が、心に休息を与えてくれます。

箱根ラリック美術館

LALIQUE

ルネ・ラリック

アール・ヌーヴォー華やかなりし19世紀末のフランス。ルネ・ラリックはジュエリーデザイナーとして活躍を始め、その後、香水瓶に代表されるガラス工芸で、彼の名声と、彼の中の創造性を確固たるものにしてゆきます。
動植物や女性、神話をモチーフにした、優美で装飾的なアール・ヌーヴォーから、対象への観察眼はそのままに、幾何学的で硬質、少し無機質でもあるアール・デコへと。時代を映して変遷しながらも、ラリックの美意識は時代を超えて現代にも共鳴し、私たちの心に響きます。

  • 写真・情報は取材時(2020年2月10日)のものです。
  • 館内は撮影禁止です(所定の場所を除く)。今回は特別に許可をいただき撮影させていただきました。
  • ラリック/ネックレス「ツバメ」
    自然を愛したラリックの意匠には、動植物がよく現れる
  • ラリック/ペンダント/ブローチ「冬景色」
    ジャポニスム(日本趣味)の影響も色濃い小品、ペンダント/ブローチ「冬景色」
  • シャンデリア
    天井にも美しいガラスの鳥が停まっている
  • ラリック/香水瓶
    花をかたどったラリックの香水テスター
  • ラリック/カーエンブレム
    ラリックのカーマスコットは当時大人気だった
  • ラリック/花瓶「つむじ風」
    極限まで研ぎ澄まされた、アール・デコ時代の傑作「つむじ風」
Le Flacon

香水瓶

見るだけでもどこか気分が高揚する、香水のボトルデザイン。実は、香水瓶を現在の装飾性の高いものへと変化させたのが、ルネ・ラリックその人なのです。
香水の大量生産が可能となり、多くの女性のファッションとなり始めた時代、各社が力を入れたのがボトルのデザインでした。
陶器のシンプルな容器から、ファッションアイコンとしてのガラスの香水瓶へ。そのエポック・メイキングとなった「シクラメン」をはじめ、香水メーカーがこぞって依頼したというラリックの香水瓶の世界に、当時の女性たちの熱狂が伝わってくるようです。

  • ラリック/香水瓶「シクラメン」
    “妖精も引き寄せられる香り”を表現した「シクラメン」
  • ラリック/香水瓶「三羽のツバメ」
    「三羽のツバメ」が舞い降り閉じ込める香り。現存数が少ない希少な作品
  • ラリック/香水瓶「四つの太陽」
    鏡面加工によりライトのような光をたたえる「四つの太陽」
  • ラリック/香水瓶
    ガラスのみずみずしい輝きで表現されたスズランの花
  • ラリック/香水瓶「dans la nuit」
    キッチュなデザインとは裏腹に「dans la nuit(夜に)」という名前にドキリとさせられる
  • ラリック/香水瓶「牧神の接吻」
    「牧神の接吻」とはどんな香り? 甘く蠱惑的な香りが漂ってきそう
Le Verre

ガラス

優美で華やかなアール・ヌーヴォーから、力強くシャープな魅力のアール・デコへ。ラリックが彼の中の豊かな創造性の伴侶としたのが、ガラスという素材でした。ラリックはただガラスを溶かし、成型するだけではなく、鏡面加工や腐食による艶消しの手法、動物の骨灰などを混ぜて作る乳白色のオパルセントガラス……と、ガラスと光の様々な可能性を探求し、透明なガラスに表情豊かな美を描き出しました。

  • ラリック/ガラス作品
    鏡面加工や腐食など、光を操り立体感を出す技巧が多くの作品に用いられている
  • ラリック/花瓶「バッカスの巫女」
    「バッカスの巫女たち」の踊りがオパルセントガラスに、時になまめかしく時に可憐に浮かび上がる
  • ラリック/花瓶「ナイアード」
    ニンフたちの髪のひと筋までも描き出す、ガラスの超絶技巧
  • ラリック/花瓶「ベルクール」
    フロスト加工がガラスの輝きを際立たせる、アール・デコ時代の「ベルクール」
Le Train

オリエント急行

有名な小説のタイトルにもなった、豪華列車「オリエント急行」。その名は当時の、そして今でも、人々の心をヨーロッパの旅へといざない連れてゆく、旅情を帯びた響きをしています。
その車体が日本にあります。レプリカではなく、実物が。
ラリックが車内装飾を手掛け、フランスのコート・ダジュールを駆けた後、オリエント急行としてヨーロッパ大陸を駆けた列車は、長い旅路の最後に、奇跡のように箱根にやってきました。
箱根ラリック美術館の「Le Train(ル・トラン)」では、その車体に実際に乗車し、車内でお茶を楽しみながら、その歴史や箱根に来た経緯などの説明を聞くことができます。

  • 写真・情報は取材時(2020年2月10日)のものです。
  • ティーセットのデザートは季節によって変わります。
  • オリエント急行車内外の撮影は可能です。
  • オリエント急行
    実際にヨーロッパを駆けたオリエント急行
  • オリエント急行/車内
    物語が始まるときの高揚感
  • オリエント急行/社内装飾
    ラリックの手がけた車内装飾
  • オリエント急行/「彫像と葡萄」
    ラリックのガラス技巧が冴える「彫像と葡萄」
  • オリエント急行/車窓
    車窓に箱根の木々を映し、お茶と語らいのひととき
  • オリエント急行/ティーセット
    季節のケーキとお茶を席で楽しめる

オリエント急行(ル・トラン)

  • 料金:2,200円(ティーセット付)
  • 時間:初回10:00~/最終回16:00(1時間ごと/約40分)
  • 当日現地にて予約、事前予約は不可
INFORMATION

スポット情報

名称
箱根ラリック美術館
エリア
神奈川県/箱根
住所
神奈川県足柄下郡箱根町仙石原186番1MAP
最寄り
箱根登山バス「仙石案内所前」すぐ
営業時間
9:00~17:00(美術館入館は16:30まで)
定休日
年中無休(展示替のため臨時休館あり)
入館料
  • 美術館入館料:大人 1,500円
  • オリエント急行(ル・トラン):2,200円(ティーセット付)
備考
  • 美術館内は、所定の場所を除き撮影禁止です。
  • オリエント急行「ル・トラン」は、当日現地での予約が必要です。電話予約はありません。
公式ホームページ
http://www.lalique-museum.com/
  • 営業時間・展示企画等最新情報は公式サイトでご確認ください。
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